うんちはすごい

うんちをするための7つのアクション

加藤 篤
加藤 篤
日本トイレ研究所代表理事

2020/09/17

「うんちをする」って、あまりにも日常的で、当たり前のことなので、
どのような手順と行為で、このミッションを達成しているかなんて考えたこともないですよね。悩まず、苦にせず、スムーズにできることは、実はとても幸せなことです。
これからは人生100年の時代です。トイレは、いくつになっても自分ひとりで行きたいと誰もが思うはず。トイレで上手く排泄できなくなってしまうと、日常生活全般に大きく影響しますからね。

ということで、今回は「うんちをする」という行為を7つに分解して解説することで、「うんちをする」という何気ない行為が、いかにすごいかをお伝えしたいと思います。

それでは、「うんちをするための7つのアクション」を解説します。

アクション1「便意を感じる」
兎にも角にも、うんちをしたい!という便意を感じることが大切です。
そもそも、それを感じなければすべては始まりません。
便意があることは、うんちを溜めて、溜まったことを大脳に伝えることができている、というとても有難いことなのです。

アクション2「トイレ(便器)を認識できる」
便意を感じたら、あたり構わずうんちしていい!なんてことはありません。そんなことしたら、社会参加はできませんよね。
まずは、トイレを見つけられる、もしくは認識できることが必要です。「トイレが見つけられない」「どれが便器か分からない」では、困ってしまいますよね。
でも、便器の色や形状が変わると焦ってしまうこともあります。以前に、ロンドンのトラファルガー広場のトイレに行った時のこと、手洗いと小便器が似ていて、数分間悩んだことがあります。よく見ればわかることなのですが、かなり焦っていたのだと思います…

トラファルガー広場のトイレ

アクション3「トイレまで移動して便器に座ることができる」
歩くなり何らかの方法でトイレまで移動して、便器に座ることが必要です。もちろん、それを出来るぐらいの心肺機能も必要です。さらに、関節を動かして座った状態をとらなきゃいけないし、それをキープする力も求められます。
私はまだなったことがないのですが、ギックリ腰になると、トイレに行くのも至難の業ということをよく聞きます。

アクション4「ズボンや下着を下すことができる」
ズボンや下着を下ろすことが必要です。もちろん、そうすることが必要だということを認識していることが前提です。意識すると分かるのですが、ボタンを外したり、ファスナーを下げたりなど、指先をかなり起用に使えないとこのアクションはクリアできません。片手がふさがっているだけでもかなり困難になりますよ。また、漏らしてはいけなので、そんなに長い時間をかけるわけにもいきません。

アクション5「うんちをすることができる」
おなかの内部に圧力をかける、つまりいきんで、それと同時に肛門の力を緩めて、うんちを体外に押し出すことが必要です。ここで記述しているのは意識的に出来ることのみです。うんちをしてもよい状態になるまで、ちゃんと我慢できる体であることも必要です。

アクション6「後始末ができる」
うんちをしたあとは、後始末が必要です。適量のトイレットペーパーを手で巻き取り、肛門をきれいに拭くこと、ちゃんと拭けたかどうかを確認すること、拭いたあとは便器内に捨てなければいけません。手の動き、腕の動き、お尻を拭く時の体のバランスなど、様々な動きを連動させることが必要です。

アクション7「手を洗うことができる」
最後は手洗いです。もちろん、ズボンや下着をもとに戻してくださいね。蛇口をひねって水を出し、両手をこすり合わせながら手を洗います。そのあとは、ペーパータオルかハンカチなどで水分をふき取って、ようやく完了です。

以上が7つのアクションです。
もし、指や足、腰など、どこかにケガをすると、この7つのアクションがいかに難しいかが分かります。もはや、スポーツのようですね。でも、決して大げさではないです。トイレに行くためにリハビリすることだってあります。
幼いときも年老いたときも、いくつになっても、トイレトレーニングは大切ですね。
今後は、「自分の力でトイレに行くことをコミットする!」なんていうことも、あるかもしれませんよ!

(本記事は、note「うんちはすごい!」から転載しています。)

加藤 篤
加藤 篤
日本トイレ研究所代表理事

NPO法人日本トイレ研究所 代表理事。
小学校のトイレ空間改善や研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。
災害時にも安心できるトイレ環境づくりに取り組んでいる。

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