日本トイレ研究所では2020年から、排泄をとおして健康を考えてもらう啓発活動「うんちweek」を11月10日(いいトイレの日)~11月19日(世界トイレの日)に実施しています。2022年は「おなかにいいレシピ」などを公開しました。
うんちweekでは、小・中学生を対象に「うんちチェックシート」を配付し、1週間にわたってうんちの状態を記録してもらう排便記録活動を行っています。今回は、小学校122校(13,651人)、中学校5校(399人)に協力をいただきました。
週2日以下しかうんちが出ていなかった小学生、8.6%
今回は小学校122校(13,651人)の集計結果についてご紹介します。
1週間のうち、排便があった日がどれくらいだったかを集計したのが次のグラフです。
1週間、毎日排便があった小学生は40.0%でした。「子どもは毎日うんちが出ている」というイメージがあったのではないでしょうか?しかし実際に記録をしてもらうと、半数に満たないということがわかりました。
一方で、排便があった日数が週2日以下だった小学生は、8.6%でした。医療関係者向けの便秘のガイドラインでは、便秘を判断する基準のひとつに、排便の頻度が1週間で2回以下、という項目があります(『小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン』)。
育ちざかりの小学生の1割弱が、週2回以下しかうんちをしていないというのは心配な状況です。
小学生16.6%は「便秘傾向の硬いうんち」が週2回
前述のガイドラインによると、便秘かどうかを判断する際は、排便の回数だけではなく、便の形も関係しています。
うんちの形は「ブリストル便形状スケール(Bristol Stool Form Scale)」という国際的な分類指標によって7つに分類されます。うんちweekでは、便の形を紹介し、一番近いイラストに丸をつけてもらいました(下図)。
記録に使用したうんちチェックシート(こちらからダウンロードできます)
「1ころころうんち」、「2ごつごつうんち」は、便秘の傾向がある硬いうんちです。
結果を集計すると、これらの硬いうんちが週2回以上出ていた小学生は16.6%で、6人に1人となりました(下図)。
「便秘傾向の硬いうんち」、1年生女子が最多の25.0%
学年によっても差があり、小学1年生女子では25.0%と、4人に1人が、便秘傾向の硬い便が2回以上出ていました(下図)。
子どもの便秘は、成長とともに食事量や運動量が増えることで改善することもあります。学年が上がるにつれ、「硬い便が2回以上」という割合は減っていくものの、6年生でも1割前後が該当し、改善されずに便秘が続く子どもも一定数いると考えられます。
トイレを我慢しない環境づくりが大切
前述のガイドラインでは、子どもが便秘を発症しやすい時期の1つとして「学童における通学の開始や学校での排泄の回避」をあげています。
小学校の入学は、子どもにとって大きな環境の変化です。排便は自律神経がつかさどっているため、環境の変化によるストレスや緊張があると、便秘につながりやすいのです。
子どもの便秘の特徴として、便意を感じても排便を我慢することを繰り返すうち、腸の出口の近く(直腸といいます)にうんちが溜まってしまうという症状があります。放っておくと徐々に悪化するため、便秘かなと感じたらできるだけ早めの対策が必要です。
また、学校のトイレは家庭のトイレとは違って、和式だったり老朽化していたりすることもあります。学校では「トイレに行きにくい」「排便しにくい」と感じる風潮も依然として残っています。トイレを我慢して便秘になることがないよう、排便の大切さについて学ぶ機会や、トイレに行きやすい学校環境を作ることも必要だと考えます。
うんちは「体からのお便り」とよく言われるように、日々の健康状態を表しています。また、近年の研究では腸内環境が全身の健康に深くかかわっていることも明らかになっています。
今後も、うんちweekの活動をとおして、うんちチェックにより日常的に健康状態を確認し、自分の体の状態に意識を向ける大切さを伝えていきたいと思います。
「小・中学生の排便記録2022 小学生13,651人、中学生399人の7日間の記録」
詳細はこちら
https://toilet-magazine.jp/unchiweek#date
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