子どものトイレ

男子のトイレ事情

鈴木 登志枝
鈴木 登志枝
公立小学校 養護教諭

2019/11/28

前回に引き続き、小学校のトイレ事情ご紹介します。

前回の記事はこちら

第2回である今回は『男子児童のトイレ事情』について、養護教諭 鈴木先生に記事を執筆いただきました。

どうして?小学校でのお漏らし

担任の先生が慌てて保健室へ男子児童を連れてきました。
瞬時に「お漏らし」をしたこと悟り、着替えと汚れた服を入れる袋を用意しました。
着替えを手伝っていると、下痢だったことが分かりました。
お腹が痛いことやトイレに行きたいことを言えなかった結果、教室で下痢をしていたのです。

この児童に限らず、大便を我慢しきれなくなり教室でしてしまう児童がいます。
中には、遊びに夢中でトイレに行くことを忘れてしまう子もいます。
よく低学年の先生は、休み時間や授業前に「トイレに行きたい人はどうぞ」と児童へトイレに行くことを促します。
また、授業中にトイレに行きたくなった場合は行かせています。

では、なぜ教室でうんちや下痢をしてしまうのか。


小学校の男子トイレではうんちがしにくい?

ひとつは、男子トイレ特有の構造にあると思っています。

女子のように、小便も、大便も個室で用を足すつくりとは異なります。
男子の場合は、小便は小便器、大便は個室トイレで用を足すという使用目的によってどちらの便器を使うか選択をします。
また、「個室に入る=大便をしている/する予定」ということがトイレに居合わせた他の人にも知られてしまいます。
学校で大便をしたくなったときに、個室で用を足すことはとても高いハードルになっているのではないかと思います。

運よく(?)だれもトイレにいないときに、個室トイレに入れたとしても出る際に誰かと居合わせてしまったら…?それって、かなりスリリングだと思います。
だって、一か八かなのですから。
運悪く個室トイレから出る際にだれかと居合わせてしまったら「うんちをしていた人」とみなされてしまい、からかいの対象になることといつも隣りあわせです(みんなうんちをするのに)。

失禁すること、個室のトイレを使うこと、どちらもその人の尊厳にかかわり、場合によってはトラウマにもなりかねません。

男子トイレのトラウマ

男性の先生方に、子ども時代の学校のトイレについて聞いたことがありました。
学校で個室トイレに入っていると、ドアの上から雑巾やトイレットペーパーが投げ入れられたり、ドアの下からモップを入れられたりした経験がある人もいました。
人目を避けるために、わざわざ教室から離れた体育館のトイレへ行って大便をした人もいるそうです。

排泄教育による、うんちしやすい環境づくりが大切

大小に限らずトイレに行きたくなったら、行くことができる。
小便器、個室トイレのどちらのトイレを使っても「当たり前」であり、からかわない環境づくり(意識への働きかけ)です。
そのために、低学年にトイレや排泄の授業をすることです。
あわせて、その授業の内容を保護者の方にも伝えることです。
授業参観に実施してもいいでしょうし、便りにして伝える方法もいいと思います。

男子が大便をする際に、心置きなくスッキリと用が足せることを願ってやみません。

鈴木 登志枝
鈴木 登志枝
公立小学校 養護教諭

福島県公立学校養護教諭。養護教諭専修免許、管理栄養士免許をもつ。
「出し方だって大切だ」を合言葉に、排便やトイレの使い方の指導を行う 「うんち教室」を実施している。
学校では子どもたちとトイレ点検を、 自宅では一日の終わりにトイレ掃除を欠かさない。

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