「保健室の先生」も知らない!?
私は、養護教諭(保健室の先生)として日々子どもたちの健康をサポートしています。内科的な訴えや症状のある児童には問診をします。その中で、「最後にうんちをしたのはいつか?」「どんなうんちだったのか?」もあわせて聞いています。
みなさんは、この質問になんと答えますか?
答えは、「見ていないからわからない」か「○○(いつ)、◇◇(こんなうんち)だった」の大きく2つに分かれます。
はじめ、現在の勤務校でこの質問をすると「え!なんでそんなことを聞くの?」と言わんばかりの表情で恥ずかしそうに答える児童も中にはいました。しかし、質問者が養護教諭だからか、この質問をされることに慣れたからなのか現在は躊躇することなく答えてくれます。
質問をして分かったことが2つあります。1つ目は、意外に子どもは意識的にはうんちを見ていないこと。2つ目は、うんちの性状と自分の生活のつながりを理解していないことです。
立場上、子どもたちの健康に関しては自負していました。と言うのも、いつも腹痛でやってくるあの子や偏食気味のあの子の排便状態は把握しているからです。しかし、「全校児童の排便状態って、どうなっているのだろう?」とふと頭をよぎりました。保健室の先生は個々の排便状態を把握していても、全校児童の排便状態までは把握していないことに気付きました。
見て、○をつける、だけ!「うんちチェック」
そんなある日、日本トイレ研究所さんから「うんちweek」の案内が届きました。11月10日(いいトイレの日)~19日(世界トイレの日)を「うんちweek」として、うんちを見て自分の健康状態を知ること、子どもの排便事情を把握することを目的としています。7種類のかわいいうんちのイラストが描かれた7日分のチェックシートに丸を付けて、数を書くだけです。これなら1年生もできると思い全校で参加しました。
この期間にあわせて、保健室前の掲示物もうんちづくしにしました。
児童から聞こえてくる楽しそうな声。しかも、「今日、どのうんちだった?」「わたしはこれ~!」というやり取りが!全校でうんちチェックをしているので、会話にも自然にうんちが出てきます。他人のうんちまで気になる様子!(大人同士の会話ではこうはいかないのに、子どものこの感じいいですよね)
後日送られてきた集計結果には、自校と全体の結果がまとめられていました。これを、校内学校保健委員会(学校医や教職員などで構成された子どもの健康について協議する会)や保健だよりで知らせました。継続することで、「○○小学校うんち健康診断結果」として傾向と対策に生かせます。これからは、このデータを基にうんち教室や掲示物作成をアップデートしていく予定です。
この取組に参加して、発達段階によって排便の状態に傾向があること、快便と思っている児童の中にも便秘気味な児童がいることが分かりました。「うんちは自分の分身」という意識を根付かせ、子どもたち自身が不調の原因に気付き、生活習慣の改善に役立てられるセルフコントロール能力を身に付けさせたいと思っています。
みんなを「うんちはかせ」に
低学年を対象にしたうんちやトイレのマナーを学習する「うんち教室」の授業の他に、年間を通じて保健だよりのコラムでうんちやトイレのうんちくを取り上げ始めました。その名も「みんな『うんちはかせ』」です。
はじめは、便の性状や快便のポイントなどを発信しますが、その他にも例えば、
・「また会う日まで、サスティナブルうんち!」では、下水道資源を活用し栽培される作物について
・「そなえて安心♡自分に必要な量」では、防災月間にあわせてトイレットペーパーの必要量について
・「読書のトイレ!?」では、読書の秋にちなみ、うんちやトイレの書籍の紹介
などを取り上げます。このコラムを読み終えるころには、誰かに話したくなる、いや!語らずにはいられない「うんちはかせ」に子どもたちをしたいという願いがあります。
うんちはつづく
その後の保健室はというと、排便の様子を聞くとほとんどの児童がどんな色、形かをすらすら教えてくれます。そして、「○○だったから、やわらかいうんちだったのかも」とうんちを切り口に自身の生活の振り返りができるようになりました。付き添いで来た友だちも、その話を聞き「私も○○だったときは、やわらかいうんちだったよ」と会話をしています。
「うんち」や「トイレ」のことを、子どもたちが当たり前に他人とフランクに話せる環境を整えるには、「大人」が随所に仕掛け、普段からポジディブに語ることでその当たり前を作ることができると思います。
これからも、魅力たっぷりに発信していき、目の前の子どもたちが大人になったときに普段からポジディブに語れる人にしていきたいです。
今の気持ちを表してみよう!
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