前回は「日本のトイレは困っている」として日本におけるトイレの課題について書きました。ひとことで言うと「障害がある人たちの外出には様々な壁がありそのうちのひとつがトイレなんだ」ということです。日本において9人にひとりはなんらかの障害や難病等などがあると言われています。
そんな中、日本において多機能トイレの数は増えてきています。特に観光都市や東京では、多機能トイレを駅や公共施設、さらにはデパートなど、様々なところで見かけることができるようになりました。
そこで、今回のテーマは「公共トイレってなんだ?」です。
公共とは「公に供する」ということで、トイレの管理者に関係なく不特定多数の方が利用できるトイレのことを言うのだと思います。そこで日本における公共トイレってどうなっているのでしょう。
平成29年に千代田区は以下の調査を実施しました。
民間トイレ等の実態調査(千代田区)
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/bunka/tokyo-olympic/toilet.html
また千代田区が管理している公園トイレと公衆トイレの配置図は以下となります。
区の公衆・公園トイレ(千代田区)
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/machizukuri/koen/toilet.html
公衆トイレ:20か所
公園トイレ:18か所
これらをもとに、公共トイレの数を計算すると、下表のようになります。
圧倒的に民間が管理している公共トイレが多いですね。実際、まちを歩いているときに利用したり、見かけるトイレは民間が管理しているトイレが多いので、この数値に違和感はありません。
不特定多数の人が使用する民間のトイレはどのような基準をもとに設計されているのでしょうか。多機能トイレの整備に関して、東京都では「福祉のまちづくり条例」に基づき大規模施設や公共交通機関、コンビニなどはトイレを整備する必要があります。
では、私の友人たちが「トイレに困っている」と声をそろえて言うのはなぜでしょうか。
その理由の1つがトイレの個数だと思います。条例による多機能トイレの設置基準(遵守)は1施設に1か所です。しかし多機能トイレは障害者だけでなく、ベビーカー利用者やトランスジェンダー等も使用することが考えられます。そのため利用者ニーズに対して圧倒的に数が少ないのです。
このような状況を改善するため、国土交通省は多機能トイレの機能を分散する方針を打ち出しました。
機能分散とは、今まで多機能トイレに集中していた設備(機能)を分散して配置しようというもので、例えばオストメイトを多機能トイレ内ではなくほかのブースに配置することで、オストメイト利用者と車椅子利用者がひとつのトイレを取り合わないようにするのを目的としている。
〇機能分散したトイレ配置の標準図
しかし、すでに整備してしまったトイレを改修するのは建築物の構造や設備の配置によりできないこともあります。そこで、次回は「公共トイレにおける合理的配慮」について書きたいと思います。
今の気持ちを表してみよう!
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