うんちはすごい

うんちを構成する要素のうち、食べかすが占めるのはわずか7%である

加藤 篤
加藤 篤
日本トイレ研究所代表理事

2020/10/22

うんちは何からできているのか?

うんちのすごさを学ぶには、まず、うんちそのものについて調べる必要があります。
そうです、うんちの正体を明らかにするのです。

うんちをしない人はいないので、うんちがどのようなものかは多くの人が何となくわかっていると思います。

というか、間違いなく見たことがありますね。

うんちは、私たちが生きている証として、肛門からプリプリと出てきます。

簡単に言うと、「体にとって不要なもの」です。

朝、昼、晩に食べたものが消化・吸収されて、その残りかすがうんちになる……つまり、「うんちのほとんどは食べかすだ」と思っている方は多いと思います。

でも、それは間違いです。

健康的なうんちの場合、約80%が水分なのです。

便秘気味になれば水分は70%ぐらいになり、下痢になれば90%以上になることもありますが、いずれにせよ、大半が水分です。

ちなみに、うんちの水分量に近いものを探してみると、食べものに例えて恐縮ですが、トウモロコシは75%くらい、イモ類は60%から80%くらい、バナナが80%くらいです(笑)。

一般的な成人男性だと、からだの60%が水分です。それと比べてもうんちの含水率の高さが分かります。

うんちをすると水分が失われる

うんちの80%が水分だということは、100gのうんちをすることで、80ccの水分が体から失われます。

人は1日約2.5リットルの水が必要で、食べ物に含まれる水分で約1リットル、タンパク質や炭水化物、脂肪などの代謝によって体内で作られる水で約0.3リットル、飲み水で約1.2リットルを補給しています。

一方で、うんちとおしっこで約1.6リットル、呼吸や汗で約0.9リットルの水分を排出しています。

私たちが健康的に生活する上で水分の確保はとても大切です。体の水分が不足すると、体の調子が悪くなるし、熱中症や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こして死に至ることもあります。平成28年の熱中症による死亡数は日本全国で621人、多い年には1000人以上の方が亡くなっています(参考:厚生労働省:熱中症による死亡数 人口動態統計(確定数)より)。

厚生労働省では「寝る前、起床時、スポーツ中及びその前後、入浴の前後、そしてのどが渇く前に水分補給を心がけることが重要」と呼びかけています。

「うんちのあとには水を飲もう!」なんていう呼びかけもありかも…ですね。

水分以外の20%は何か?

話を戻して、「うんちを構成する要素のうち、水分以外の20%が何なのか」ということが気になりますよね。

結論を言うと、この20%は、「食べかす」「腸内細菌」「はがれた腸粘膜など」ということになります。そして、概ねこの3つは同じ割合を占めています。

食べかすというのは、消化されなかったものや栄養を搾り取られた残りかすのことを指し、分かりやすいものとしては食物繊維などがあげられます。

この食べかすは、全体の割合からすると7%ぐらいなのです。

仮にうんちを100gとするとわずか7g。小さじ一杯が5gなので、それよりちょっと多い程度です。

つぎに腸内細菌は、水分を除いたうんち1gの中に、6000億から1兆個という膨大な数がいるようです。

腸内細菌を大まかに分類すると善玉菌、日和見菌、悪玉菌になります。これらの名称は聞いたことがありますよね。ビフィズス菌や乳酸菌が善玉菌、大腸菌やウェルシュ菌が悪玉菌です。

最後に、はがれた腸粘膜です。人間の腸粘膜はは3日に1度ぐらいの頻度で新しく生まれかわっています。

うんちになる過程で食べかすなどがこすれて落ちるのもあれば、古くなって自然に剥がれるものもあります。これらがうんちの一部として排出されます。

ということで、うんちは主に、水分、食べかす、腸内細菌、はがれた腸粘膜でできています。

いいうんちには、十分な水分、うんちを形作るための食べかす、良好な腸内環境が必要ということです。

(この記事はnote「うんちはすごい!」から転載しています)

加藤 篤
加藤 篤
日本トイレ研究所代表理事

NPO法人日本トイレ研究所 代表理事。
小学校のトイレ空間改善や研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。
災害時にも安心できるトイレ環境づくりに取り組んでいる。

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