うんちはすごい

あなたのうんちは7つに分類できる

加藤 篤
加藤 篤
日本トイレ研究所代表理事

2020/10/29

みなさんは、自分のうんちをちゃんと見ていますか?

「え~、そんなの見るわけないじゃん!」っていう声が聞こえてきそうです。笑

「うんちをしたあと〇%の人がうんちの状態を確認する」なんていう調査は聞いたことがありません。ノールックで流している人も少なくないでしょう。

最近は、自動で流してくれるトイレもあります。そうです、センサーに反応して洗浄スイッチが入るのです。だから、うんちをした後にちょっとからだを動かしただけで、流れてしまうんです。急いでうんちを確認しようとするのですが、時すでに遅しです。あっという間に流れて行ってしまいます。

自動洗浄でなかったとしても、他人のうんちと自分のうんちを見比べる機会もないので、自分のうんちが良いかどうかを判断する基準もあいまいですよね。
でも、これじゃあマズイです。

胸を張って、子どもたちにいいうんちのあり方を教えるためには、まず、うんちの形状を正しく把握することが必要です。

「そんなこと言われても」と思うでしょうが、実はうんちの形状に関する国際的な分類指標があるんです。

うんちに関する国際指標

なかでももっとも普及しているものは、ブリストル大学病院で過敏性腸症候群などを研究していたオドネル博士たちが考案した「ブリストル便形状スケール(Bristol Stool Form Scale)」だと思います。

これによると、うんちの形状は7つに分類されています。

加藤篤,『うんちはすごい』,イースト・プレス,(2018)より

日本では、バナナうんちという表現を使うことが多いですが、この分類はソーセージなのですね。さらに「とぐろを巻く」という表記があるのも驚きです。洋式便器でとぐろを巻くこともあるってことなんですね。

なぜこんな指標がつくられたのか?

とはいえ、なぜ、このような指標がつくられたのか気になったので、文献を

調べてみました。

まずは、「なぜ、うんちの形状を知りたかったのか?」ですよね。

オドネル博士たちの研究チームは、過敏性腸症候群の患者に関して適切な治療をするためには、食べた物が腸の中を通過する時間を把握することが必要だと考えました。なぜなら、腸の中を通過するスピードに応じて治療法が異なるからです。通過するスピードがかなり速ければ下痢になるのでその対応が必要ですし、スピードがゆっくりなのに頻回かつ緊急的にうんちが出るのであれば、また別の対応が必要です。

そこで、腸の中を通過する時間を把握する指標として目を付けたのが「うんちの形状」だったのです。

次に、「なぜ、うんちの具体的な形状や硬さに応じて分類することが必要だったのか?」

腸を通過する時間が短かければ水っぽいうんちになるし、通過する時間が長ければ硬いうんちになります。でも、お医者さんが患者さんにうんちのことを根掘り葉掘り詳細に聞くのは大変です。いくら治療のためとはいえ、聞かれた方は恥ずかしいと思うかもしれないですし、そもそもデリケートなことでもありますよね。

そのため、簡易に、しかも客観的に把握する方法が必要でした。そこで、うんちの表面のひび割れの状態や固まり具合によって、7分類にする指標を考案したのです。

1990年、実際にこの指標を用いて調査した結果、腸を通過する時間を把握するための合理的な指標であることが確認されました。

この分類を使えば、自分のうんちの状態を的確に把握することができるし、お医者さんとやりとりする際の共通の指標として使用することができます。

「硬めで、小さくて、コロっとしていて……」など、どのように表現すればよいか悩んでしまいそうなところで、ブリストル便形状スケールを使えば、ズバッと番号で言えるのです!

そういえば、香水といえば「ナンバー5」という言い方がありましたね。

でも、いいうんちは「ナンバー4」、そうです、4番なのです!

いいうんちは4番に加えて、黄色っぽい茶色でそんなに臭くもないこと、そして、うんちをしたあとにスッキリ感があることが大切です。

うんちの出るメカニズムについては、また別の機会に書きますね。

ということで、これからは「最近、野菜不足だから3番なんだよなー」とか、「昨日は、ちょっと飲みすぎちゃったから6番だよー」など、番号でコミュニケーションすることが出来ちゃいます。

そうと決まったら、次に出会ううんちからさっそくうんちチェックを始めてみましょうー!

(この記事はnote「うんちはすごい!」から転載しています)

加藤 篤
加藤 篤
日本トイレ研究所代表理事

NPO法人日本トイレ研究所 代表理事。
小学校のトイレ空間改善や研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。
災害時にも安心できるトイレ環境づくりに取り組んでいる。

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