子どものトイレ

見ないなんて、もったいない!

鈴木 登志枝
鈴木 登志枝
公立小学校 養護教諭

2020/01/30

前回に引き続き、小学校のトイレ事情ご紹介します。

前回の記事はこちら

第3回目、最終回である今回は『うんちに興味を持つ』について、養護教諭 鈴木先生に記事を執筆いただきました。

どんなうんち?

内科的な理由で、保健室へ来室した児童に必ず聞くことがあります。
それは、「最後にうんちをしたのはいつか」「どんなうんちだったのか」の2つです。
最後にいつうんちをしたかは思い出せても、どんなうんちだったのか見ていない児童もいます。
ここで聞きたいのは、普通便だったのかそうではないのかということです。
しかし、見ていないので子どもたちは答えられません。

排便について指導をしたときに、子どもたちになんでうんちを見ないで流すのかを聞いたことがあります。
すると、「汚い」「見る習慣がない」という意見がでました。
うんちは、生活習慣をよく反映していて食生活が偏っていたり、夜更かしをして生活リズムが崩れていたりすると普通便ではないことが多いものです。
また、臭いも体調が悪いときにはきつい臭いがしますが、体調の良いときにはあまり気にならない程度の臭いです。

保健室での掲示

うんちは身体のバロメーター

まさに、うんちは身体のバロメーターの役割をしています。
こんなに多くの情報を得られるうんちを見ないなんて、もったいない!このことを子どもたちに話した後に、保健室の掲示板にうんちに関する掲示をしました。

すると、「(うんちは)汚い」と言っていたにも関わらず多くの児童が掲示物を見て、今日はどんなうんちだったのか教えてくれるようになりました。
中には、「先生、長男(その日初めてのうんちのこと)うんできました!」と笑顔で報告にくる子がいるほどです。
少しのきっかけで、こんなに子どもって変わるものなのかと驚きました。
「トイレに行ってくるね」「いっトイレ!(行ってらっしゃい)」が普通に飛び交うくらい自然なものになる日が近いのではと思っています。

うんちに興味をもち、生活習慣を振り返る

多くの人が「トイレ」を一日に何度も使い、「うんち」をします。
当たり前のことです。
しかし、小さな子どもたちでもこの言葉に「恥ずかしいもの」「言葉にしてはいけないもの」というネガティブなイメージをすでにもっていることがわかります。
トイレや排泄のことを自然に話題にできる雰囲気づくりは、私たち大人の対応によって決まってくるのではないかと思います。
子どもが、トイレや排泄のことを話したときに大人が嫌な顔をしたり、無視をしたりすると「話しちゃいけないことなんだ」という意識が芽生えるからです。
保健指導のときに、ためらいもなく「トイレ」「うんち」と連呼していた私に、「きゃー」とか「恥ずかしーい」と言っていた子どもたちですが、言葉とは裏腹にその目は興味深々でした。

この興味を自身の生活習慣の振り返りやトイレの使い方などに向けられるように導けば、子どもたちが親世代になったときにも自分の子どもに同じように当たり前に教えることができるのではないかと思います。

鈴木 登志枝
鈴木 登志枝
公立小学校 養護教諭

福島県公立学校養護教諭。養護教諭専修免許、管理栄養士免許をもつ。
「出し方だって大切だ」を合言葉に、排便やトイレの使い方の指導を行う 「うんち教室」を実施している。
学校では子どもたちとトイレ点検を、 自宅では一日の終わりにトイレ掃除を欠かさない。

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