子どものトイレ

我慢しなくていい排泄環境を整えよう「小学生と保護者の排便に関する意識調査」

日本トイレ研究所
日本トイレ研究所
Japan Toilet Labo.

2023/03/23

日本トイレ研究所では2022年の「うんちweek」にあわせ、「小学生と保護者の排便に関する意識調査」を実施しました。(小学1年生~6年生の子ども同席のもと、保護者を対象に実施)

子どもの排便状態について聞いたところ、「便秘状態」と考えられる子どもは9.9%、「便秘予備軍」と考えられる子どもは10.2%となりました。あわせると約2割の小学生が便秘に注意が必要な状態です。
便秘状態かどうかの判断は、便秘の診断基準であるROMEⅢに照らし合わせました。例えば「うんちの回数が、週に2回以下」「うんちが漏れる(下着に便が付着している)」「うんちが硬い、出すときに痛みがある、出血する」などが便秘の症状です。

出典:「小学生と保護者の排便に関する意識調査」(NPO法人日本トイレ研究所)

 

子どもの便秘に気づいていない保護者も

子どもが「便秘状態」であった保護者に、「あなた(保護者)から見て、お子様は便秘だと思いますか」と尋ねたところ、「そう思う」「ややそう思う」と回答した保護者が大半を占めましたが、「あまりそう思わない」(14.1%)、「まったくそう思わない」(4.0%)との回答もあわせて18.1%になりました。
子どもの便秘に気付きにくい背景としては、どんな症状が便秘なのかという情報が浸透していないことや、子ども本人が訴えにくいことなどが考えられます。

出典:「小学生と保護者の排便に関する意識調査」(NPO法人日本トイレ研究所)

 

保護者が便秘の場合、子どもも便秘の割合が多い

今回の調査では保護者にも排便状態を聞きました。
保護者が便秘状態の場合、子どもが便秘状態であったのは26.0%(下図の左)となり、保護者が便秘状態でない場合に比べ、8倍以上となりました。

出典:「小学生と保護者の排便に関する意識調査」(NPO法人日本トイレ研究所)

 

排便状態は、人と比べることがないので、自分の状態が当たり前と考えがちです。
また、排便には食事、運動、睡眠など生活の様々な要素が影響していると考えられます。食事や生活習慣などが似ていると、排便状態も似る可能性があります。

 

便秘の子どもの8割は、学校でうんちを我慢

便秘状態の子どもは、学校でうんちを我慢することが「よくある」「ときどきある」と答えた割合が81.8%となりました(下図)。さらに、「よくある」(38.4%)と答えたのは、便秘状態ではない子どもに比べ、8倍となっています。
便秘状態のために、排便に時間がかかるので学校でうんちをしたくないことも考えられます。


出典:「小学生と保護者の排便に関する意識調査」(NPO法人日本トイレ研究所)

 

学校で排便を我慢している割合を男女別に見ると(下図)、「よくある」「ときどきある」が男の子は44.3%、女の子は39.4%でした。学校で排便を我慢している割合は、男の子が5ポイントほど多いものの、予想していたほどの差は開きませんでした。

出典:「小学生と保護者の排便に関する意識調査」(NPO法人日本トイレ研究所)

 

学校のトイレを我慢する理由としては、「友達に知られたくない」(26.5%)、「落ち着かない」(22.2%)、「休憩時間内で間に合わない」(22.0%)のほか、「友達にからかわれる」(15.0%)、「トイレが汚い」(12.9%)などの声がありました。

男子の3割、和式便器が「使えない」

和式便器を使用することができるかを聞いたところ、「抵抗なく使用できる」「抵抗はあるが使用できる」が73.3%となった一方で、「使用できない」という回答も26.7%に上りました。

出典:「小学生と保護者の排便に関する意識調査」(NPO法人日本トイレ研究所)

 

また男女別では、「使用できない」という回答が男子のほうが多く3割を超えています。
家庭や、商業施設、駅などのトイレで洋式化が進む一方、学校ではまだ和式便器が残っているところも多くあります。和式便器を使えないと、学校などで排泄を我慢することにつながります。
学校のトイレの洋式化と合わせて、どちらでも使える練習の機会があると良いと思います。

出典:「小学生と保護者の排便に関する意識調査」(NPO法人日本トイレ研究所)

 

まとめ

小学校に入学するタイミングは便秘になりやすい時期といわれています。また子どもの便秘を放っておくと、徐々に悪化したり、大人になるまで便秘を持ち越すことも考えられます。
一方で、学校のトイレが古いことや、友達に知られたりからかわれるのが嫌で、排便を我慢することは決して珍しいことではありません。
我慢を繰り返すことで便秘になったり、便秘の症状がより悪化していくことも考えられます。
排便を我慢しない環境づくりのために、トイレ空間の整備と、排便の大切さを伝える教育の機会が必要だと考えます。

 

「小学生と保護者の排便に関する意識調査」
詳細はこちら
https://toilet-magazine.jp/unchiweek#date

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「トイレ」を通して社会をより良い方向へ変えていくことをコンセプトに活動しているNPOです。トイレから、環境、文化、教育、健康について考え、すべての人が安心しトイレを利用でき、共に暮らせる社会づくりを目指します。

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