日本トイレ研究所では、排泄をとおして健康を考えてもらう啓発活動「うんちweek」を11月10日(いいトイレの日)~11月19日(世界トイレの日)に毎年実施しています。活動の一環として、小・中学生を対象に、1週間、自分の便の状態を記録してもらう排便記録を行っています。今回は、小学校112校(12,307人)、中学校12校(1,258人)の結果を集計しました。
記録に使用したうんちチェックシート(こちらからダウンロードできます)
週2日以下しか排便のない小中学生が1割弱
7日間のうち、排便があった日がどれくらいだったかを集計したのが次のグラフです。
7日間、毎日排便があった小学生は38.5%、中学生は48.9%でした。一方、7日間のうち、「排便が2日以下」だったのが小学生では9.0%、中学生では8.7%でした。中学生のほうが、毎日排便している割合が10%以上多いものの、「排便が2日以下」の割合はあまり変わりません。
医療関係者向けの便秘のガイドラインでは、便秘を判断する基準のひとつに、排便の頻度が1週間で2回以下、という項目があります(『小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン』)。
心身ともに成長する時期である小・中学生の1割弱が、週2回以下しか排便していないというのは心配な状況です。
小学生17.8%が「硬い便が2回以上」
排便状態を判断する際は、排便の回数だけではなく、便の形も大きく関係するといわれています。
便の形は「ブリストル便形状スケール(Bristol Stool Form Scale)」という国際的な分類指標によって7つに分類されます。
うんちweekでは、7つの便の形を示し、一番近いイラストに丸をつけてもらいました。(前掲のチェックシート参照)
「1ころころうんち」、「2ごつごつうんち」は、便秘傾向がある形です。これらの「硬い便が2回以上」だったのは小学生で17.8%、中学生で9.2%でした(下図)。
小学1・2年生の女子では約4人に1人に
学年によっても差があり、小学1年生女子では24.6%と、2年生女子では24.9%と、4人に1人が、便秘傾向の硬い便が週に以上出ていました(下図)。
子どもの便秘は、成長とともに食事量や運動量が増えることで改善する傾向にあります。学年が上がるにつれ、「硬い便が2回以上」の割合は減っていくものの、6年生でも女子は14.4%が該当し、改善されずに便秘が続く子どもも一定数いると考えられます。
3年間の結果でも、毎年小学生の2割以上に便秘の疑い
この排便記録活動は2020年から実施しており、今年で4回目となります(中学生は2022年から)。このうち2021年からの3年間は同じ記録方式を採用しています。
小学生について3年間の結果を集計したところ、「排便が2日以下」と「硬い便が2回以上」のどちらかに該当する児童と、両方に該当する児童の割合を合わせると、2021年は22.1%、2022年は24.7%、2023年は26.3%という結果になりました(下図)。毎年、2割以上の児童に便秘の疑いがあるという結果で、例えば30人のクラスであれば、6人ほどが該当するという状況です。
トイレ環境を整えて、うんちについて学ぼう
「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」によると子どもが便秘になりやすいきっかけとして、「学童における通学の開始や学校での排泄の回避」があり、入学による環境の変化や、学校でトイレに行くのを避けることが便秘のきっかけになる可能性があります。
一般的に公立の学校のトイレは老朽化が進んでおり、家庭のトイレとのギャップが大きいことも課題として挙げられます。
また、学習指導要領において排便に関する教育が位置づけられていないことも課題です。便の状態には、食事、運動、睡眠、心の状態などさまざまなことが影響します。排便をきっかけに自分の体の状態に目を向け、体の調子を整えようと意識することは、とても重要です。
この排便記録を行う際、チェックシートとあわせて「うんちの教科書」という冊子を配りました。便の状態を確認することがなぜ大切なのか、排便と生活習慣の関わりについて紹介しています。
日本トイレ研究所では、今後も排便についての啓発や教育活動を実施していきたいと考えています。この取り組みを広げていくことで、自分の排便をとおして健康を意識する習慣が身につく児童・生徒が増えることを願っています。
「小・中学生の排便記録2023 小学生12,307人、中学生1,258人の7日間の記録」
▼詳細はこちら
https://toilet-magazine.jp/unchiweek#date
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