森下仁丹株式会社とNPO法人日本トイレ研究所は、女性や親子の健康をサポートするプロジェクトを実施してきました。今回は腸内環境から「人々の健康を支える」商品開発について、森下仁丹の平田隆司さん(ヘルスケア事業本部 プロダクト・マーケティング部 営業企画グループ グループリーダー)にお話を伺いました。
便秘状態の女性が半数以上
日本トイレ研究所代表理事・加藤:森下仁丹さんの協力をいただき日本トイレ研究所が実施した調査では、1~3歳の子どもを持つ女性1500人(20~47歳)のうち、半数以上の54%が便秘状態だったという結果があります(「母親と子どもの排便に関する実態調査結果」)。
この結果を見たときに、平田さんはどう感じましたか?
平田さん(以下、敬称略):便秘で困っている方がこんなに多いのか、と驚いたのが正直な印象です。調査の対象としたのは、お子さんが小さく、忙しい世代の女性だと思いますので、ご自身の便秘についてケアをする時間を取るのも難しいのではないかと思いました。
加藤:便秘はこれまで軽く考えられてきたと思いますし、悩んでいる本人もあまり詳しい症状を他人に話すのに抵抗があったと思います。
しかし、過去に日本トイレ研究所が行った調査では便秘になって困ったことを聞いたところ、イライラしたり、気分が優れないと答えた方が多く、生活や仕事などに多くの面に影響を与えているのではないかと思います。
加えて、便秘状態が続くと、腸内フローラ(腸内細菌叢)の悪化にもつながるので、健康への影響も心配です。
平田:腸内フローラのバランスが崩れると便通が乱れることは知られていますよね。腸内フローラを良好に保ってくれる善玉菌の代表がビフィズス菌です。ビフィズス菌には便通を改善する効果があると知られています。
乳児のときは腸内細菌のうちビフィズス菌の割合が99%以上を占めていますが、成人では約10%、60歳ごろには1%以下と大幅に減っていきます。さらに、食生活の乱れやストレス、運動不足でも、減っていくことが知られています。
減っていくこと自体は止めることができないので、ビフィズス菌を体の外から摂取することで、補給していくことが必要だと考えています。
どんな菌が合うかは人それぞれ
加藤:足りなければ補うという考え方は大切ですね。しかし腸内フローラは、親子でも異なるほど、人によって様々だと専門家の方にお聞きしました。
平田: 腸内フローラは人によって大きく差があるため、どんな菌を摂取すると良いのかは、人によって違います。ですので、ビフィズス菌が配合された食品やサプリを食生活に取り入れる場合は、まずは試して自分に合っていると思うものを選んでもらうのがいいと考えています。
摂取したビフィズス菌が体外へ出ていく期間は約2週間と言われていますので、お試しいただく場合は、ぜひ2週間は続けていただきたいと思います。
そういった選択肢のひとつになればと思い、当社では、ビフィズス菌を補うための機能性表示食品「ヘルスエイド®ビフィーナ®」シリーズ(以下、ビフィーナ)を提供しています。
加藤:ビフィーナはどういった経緯で開発されたのですか?
平田:ビフィーナの販売開始は今から27年前の1993年になります。当社が1893年(明治26年)の創業以来、大事にしている「人々の健康を支える」という企業理念のもと、現代の人々に必要なものは何だろうかと考え、ビフィズス菌に着目しました。
加藤:30年近くも前から、腸内環境の大切さに注目されていたことに驚きました。
胃酸からビフィズス菌を守るカプセルを開発
平田:ビフィズス菌が健康にいいことは分かっていたのですが、それを生きたまま腸に届ける技術が、当時はまだありませんでした。ビフィズス菌は実は胃酸にとても弱く、普通に口から摂取しても生きたまま腸まで届く割合はとても少ないのです。
その課題を、当社が得意とするシームレスカプセル技術で解決できるのではないかと考え、開発が始まりました。そして、胃酸で溶けず、腸に届いてから割れるカプセルの開発に成功しました。
加藤:今でこそ、「生きたまま腸に届く」というフレーズはよく聞くようになりましたが、そのためにカプセルの開発から始められたのが森下仁丹さんだったんですね。胃酸で溶けないためにどんな工夫をされているんですか?
平田:カプセルが三層構造になっていて、一番外側は胃酸でも溶けない耐酸性の皮膜になっています。その内側にさらにプロテクト層があり、内部のビフィズス菌を守っています。
この技術を最も早く開発し、提供してきたのが当社なんです。はだかのビフィズス菌より、カプセルに包んだビフィズス菌のほうが、生きたまま腸に届く確率が高いということが分かっています。
年代が上がるほど便秘の割合は増える
加藤: 森下仁丹さんと共同で、以前、「女子トイレ研究室」と題し、女性におなかの健康に関心を持ってもらう活動に取り組ませていただきました。
自分に合った菌を見つけるには試すことが重要ということですが、まずはおなかの健康に関心を持っていただく機会を作るのが大事だと考えています。
便秘の割合は、年代が上がるにつれ女性も男性も増えることが知られていますが、高齢になる前に、腸内環境が大切ということを知っておいていただきたいです。
平田:そうですね。ビフィーナは年代が上がるにつれ継続してくれる方がたくさんいらっしゃるので、ぜひ早くからこうした選択肢があるということを知っておいていただけると嬉しいです。
便は健康のシグナル、見逃すのはもったいない
加藤:ビフィズス菌を摂取すると、腸内環境は変わるのでしょうか?
平田:一時的に腸内細菌のバランスが変わりますが、体外に出ていくとまた元のバランスに戻ります。ですのでビフィズス菌を増やすためには、定期的に摂取するのがおすすめです。
当社では継続が大切ということをお伝えするために、毎日の排便をチェックすることをご提案しています。
便は毎日、色や形やにおいなどが違います。「最近少しおかしいな」など、便を見ることで健康状態のシグナルに気づくことができます。そのシグナルを見逃すのはもったいないですよね。
加藤:はい。うんちをチェックして、体からのシグナルを受け取ろうというのがまさに今回の「うんちweek」で発信していることです。
平田:便は体の状態そのままの姿ですよというメッセージを私たちもお伝えしています。例えば通販のお客様向けに「おなかチェックカレンダー」というチェックシートをご用意して、食生活や便通、スッキリ度などの記録に役立てていただいています。
加藤:日々、観察することで、重要さを改めてわかっていただくということですね。
平田:健康づくりの一番の土台となるのが、腸内環境だと考えています。
日本は長寿社会ですが、平均寿命と健康寿命の差は約10年といわれています。健康を長く保つためにも、腸内環境を整えた上で、栄養をきちんと摂るということが大切だと思います。
加藤:そのために、まずは自分のうんちを見るというのが第一歩ですね。
平田:はい。「便を見る」ということを若いうちから習慣化していただくといいのではないでしょうか。当社ではおなかの健康を整えることが、体全体の健康を整えることにつながるということを、製品を通して今後も発信していきたいと考えています。
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