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おむつは自立支援の福祉用具

八木 大志
八木 大志
おむつ宅配便 代表

2021/10/28

はじめに

おむつは尿や便を外に漏らさないためだけの製品ではありません。おむつはたとえ尿や便が漏れたとしても、日常生活や社会参加を支援してくれる福祉用具のひとつです。

おむつはその人の生活状況や活動に合わせて選ぶ必要があります。しかし、排泄に関することは人に相談しにくいです。また、おむつは製品数が多く、どのおむつを選べばよいのか迷うことも少なくないと思います。今回はおむつの基本的なことについて説明させて頂きます。

紙おむつの種類について

紙おむつには大きく分けて3種類あります。パンツ型おむつ、テープ型おむつ、パッドの3種類です。細かく分けると他にも様々な製品がありますが今回は割愛させて頂きます。

パンツ型おむつはトイレに行くことのできる方が履きます。テープ型おむつは介助や環境を調整しても安全にトイレに行くことができず、ベッド上で排泄をする方が履きます。パッドはパンツ型おむつやテープ型おむつに組み合わせて使用します。また、パッドはフィット性のある下着と組み合わせて使用することも可能です。

それぞれの特徴

パンツ型おむつの特徴は1人でも履きやすいことです。テープ型おむつの特徴はズボンを完全に脱がずに履き替える事ができるので介助する側が楽です。パッドの特徴は安価であり、組み合わせて使うことによって経済的な負担が軽減されます。また、パッドを組み合せることにより、パンツ型おむつやテープ型おむつを完全に脱ぐ必要がなくなるので、介助負担が軽減されます。

組み合わせの注意点

パッドを組み合わせるときに注意点があります。それはパッドを重ねてつけないことです。
尿が外に漏れることが不安で複数枚のパッドを重ねると、おむつ内は通気性が悪くなり、蒸れやすくなります。過度な蒸れは皮膚トラブルにつながります。また、パッドを複数枚重ねるとパッドがおむつを履いている人の動きを制限する可能性もあります。

いろいろな性能

例えば通気性の良いパッドです。パッドには通気性のあるパッドと通気性の良くないパッドがあります。通気性のあるパッドの方が値段は少しだけ高いですが、過度な蒸れによる皮膚トラブルがある場合は通気性の良いパッドを選択します。通気性の良くないパッドは安価です。頻回に自身でパッドを取り換えることができる方に向いています。また、吸収スピードが速いパッドもあります。尿の勢いが強い方にお勧めです。

薄いタイプの製品もあります。できるだけ薄くして履いていても違和感の少なくなるように工夫されています。もちろん、吸収量が多いパッドもあります。店頭用の紙おむつは1回の排尿量を150mlとして〇〇回吸収として表記されている場合がほとんどです。店頭用のパッドの最大の吸収回数の目安は12回吸収です。ちなみに、パンツ型おむつとテープ型おむつの最大吸収回数の目安は8回です。すごいですね!

紙おむつのサイズ選び

パンツ型おむつはウエストのサイズで選びます。テープ型おむつはヒップサイズで選びます。サイズが大きすぎると隙間ができて漏れやすくなります。小さすぎると締め付けが強くて違和感があります。パッドはパンツ型おむつやテープ型おむつにしっかりと収まるサイズを選びます。

このように紙おむつにはいろいろな種類があります。サイズや吸収量以外のことも考慮してその人に合ったおむつを選ぶことがとても重要です。また、その人の活動状況によっても選び方が変わってきます。例えば外出先でのおむつです。外出先では様々な問題があります。

外出時のおむつについて

私は旭区トイレ美化委員会として、外出時にトイレで困らないまちに向けて活動しています。この活動はおむつを履いている人が、まちでおむつを履き替えることが大変であることを知って始めた活動です。

たとえばテープ型おむつです。テープ型おむつはどうしてもトイレに座ることができず、ベッドの上で排泄をしないといけない時に履くおむつです。家にはベッドがあるのでテープ型おむつを履き替えることができます。

しかし、まちにはベッドはありません。これはテープ型おむつを履いている人にとってはまちにトイレがないのと同じことです。まちにはテープ型おむつを交換するためなどに使用できるユニバーサルシートもありますが、見かけることは少ないです。

トイレ内に設置されたユニバーサルシート

外出時に困るのは、パンツ型おむつを履いている方にも当てはまります。
外出先でパンツ型おむつを履き替えるためには靴とズボンを脱ぐ必要があります。靴を脱ぎますので清潔な床であることが望まれます。まちの公衆トイレに目を向けてみるとどうでしょうか? 靴を脱いで足をつくのにはためらうような床、手すりや壁も清潔とは言えないトイレもあります。排尿後の紙おむつを捨てる場所がないのも問題のひとつです。

おむつを適切に選んで尿や便が外に漏れなくなったとしても、おむつを取り巻く社会環境によって行動範囲が制限されている方もいます。

社会がおむつをまだ受け入れきれていない状況です。快適な排泄のためには社会がおむつに目を向けることも大切なのかもしれません。いつか誰もが外出時にトイレで困らないまちになればいいですね!

八木 大志
八木 大志
おむつ宅配便 代表

2016年におむつ宅配業を開始。一人ひとりに合ったおむつを提案させて頂いています。もともとは理学療法士として働いていましたが、ひょんなことから紙おむつと出会い惹かれていきました。外出時にトイレで困らないまちに向けて、旭区トイレ美化委員会としても活動しています。

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