日本トイレ研究所は、トイレをとおして社会をよりよくしたいという想いで日々活動しています。
その中のひとつが「子どもたちのうんち観を変える!」です。
出すことはタブー視されている
どういうことか簡単に説明しますね。
うんちやおしっこをすることは、生きていくために欠かせない生理現象で、食べることと同じくらい大切なことです。
でも、身体にとってどのように大切なのか、なぜガマンしちゃいけないのか、身体の調子との関係はどうなっているのかなど、私たちは教わることもなく大人になります。
小学校では、食べることは食育、身体を動かすことは体育というように学習するのに、出すことについては一切触れません。しかも、出すことは他人のことを知る機会もなく、自分の状態が良いのか悪いのかも分かりません。いつの頃からか分かりませんが、話題にしない、正しいことを教わらないことが続いたせいで、出すことはタブーの仲間入りしてしまいました。そして、その文化は脈々と今も続いています。
「小学校でうんちを我慢してトイレに行かなかった経験がある」という割合が51%で、学校でうんちをしたくない理由で最も多いのは「恥ずかしいから」というデータもあります。(外部サイトにリンクしています)
これを読んでくださっている皆さんも、何となくわかるのではないでしょうか。
こんなのいいわけありませんよね。行きたいときに自由に行けて、安心してうんちができる、そんなトイレと環境が必要だと思います。そのためには、子どもたちにトイレや排泄の大切さを伝え、みんなでトイレに行きやすい雰囲気づくりをすることが必要です。もちろん、明るく清潔なトイレが重要であることは言うまでもありません
そこで、子どもの「うんち観」を変えるため、絵本「うんちさま」を書いたり、大人向けの本「うんちはすごい」を書いたり、出前教室を実施したり、また「うんちっち!のうた」をつくったりしてきました。
うんちをしたら、拍手が起きた
そんななか、千葉県市川市の小学校の先生からメールをいただきました。
先生の話によると、あるグループが「うんこ」に関する本を集めて調べ学習をすすめていたときに(貴重なグループですね!)、辨野義己さんと私が書いた本「元気のしるし、朝うんち(少年写真新聞社)」を手に取ってくれたようで、とても分かりやすいと好評だったようです。
この本には「うんちっち!のうた(オリジナル体操付き)」が紹介してあるので、おそらくそれで聴いてくれたのだと思うのですが、総合的な学習の時間や休み時間に、この曲を流して踊ってくれていたそうです(なんて素敵な学校なんだ!)
ここからが重要なのですが、メールには以下のように書かれていました。
「踊り始めて3日目の出来事を紹介させてください。トイレに行った男子児童が『キラキラうんちが出ました!』と言って教室に入ってきました。教室にいた子どもたちから、その子に向けて『お~』と拍手が。うんちは体からの大切なメッセージだ、という雰囲気が生まれました。今後はキラキラうんちを出すにはどのようにするのか、という視点で追究していく予定です。」
※「キラキラうんち」というのは、歌に出てくるフレーズで、とてもいいうんちのことを指します。この他、カチカチうんち、ヒョロヒョロうんち、ドロドロうんちがあります。
泣いちゃうほど、うれしい出来事です。
出すことはタブーだ、というのは大人がつくった認識であって、子どもたちに引き継いではダメです。子どもたちに学ぶ機会を提供すれば、そんなタブーはあっという間に吹き飛びます。
うんちをしたら拍手が沸き起こるなんて、最高だと思いませんか!
岡崎体育さんがつくりだすうんち観?
もっと音楽の力を活かさなきゃと思っていたときに、NHK「よなよなラボ」の番組スタッフから連絡をいただきました。この番組は、意外な発想とユニークなクリエーション(音楽と動画)で、日常の時間をもっと豊かに!をコンセプトにしています。
詳しくお話を聞いてみると、今回のテーマは「無の時間」で、そのときに思い浮かべてほしい歌を岡崎体育さんが即興でつくります。
具体的には、オフィスのトイレで、トイレの個室から出ようとしたとき、小便器のところや手洗い場に人がいると扉を開けづらくて待ってしまう、という傾向があるので、そんなときでも扉を開ける勇気が出るような曲をつくるとのことです。
このお話を聞いて、トイレの個室から出づらいと感じてしまう原因は何だろうと改めて考えたときに、ふと思い出したのが先ほどの子どもたちのエピソードです。
小学校の頃に、排泄は当たり前のことで、身体にとってとてもいいことなんだ、ということを伝えることができれば、悪しき文化が変わるかもしれません。
もしかしたら、岡崎体育さんのクリエーションなら、日本中の子どものうんち観を変えられるかもしれない、そう思いました。
ありがたいことに、曲づくりの前に、岡崎体育さんとオンラインで話す時間をもらえたので、子どもたちがうんちを我慢してしまっていること、この悪しき文化が脈々と続いていること、今回の曲は長年の課題であった悪しき文化を変えられる可能性を秘めていること、いや、ぜひ変えてほしいということを伝えました。
うんちをすることはいいことだ!という価値を生み出すチャンスだと心の底から思いました。
音楽の力で、こころのドアをひらく
そんなオンラインミーティングからしばらくたって、番組スタッフからメールが届きました。そこには次のように書かれていました。
「岡崎体育さんがつくった曲、とてもいいものができました!最終的には大人向けではなく、小学生に学校でうんちをすることは恥ずかしいことじゃないんだと伝える内容になりました」
また、番組では、岡崎体育さん、ゲストのロッチさんもとても有意義なこととしてとらえてくださり、大いに盛り上がったとのことです。
子どもたちに届ける曲づくりに挑戦してくださった岡崎体育さんに感謝です。
私の想像をはるかに超える曲です。ストレートだけど、一つひとつの言葉がやさしく感じられます。この曲を子どもたちはどんなふうに受け取ってくれるのだろうか。それが楽しみです。
この曲が聴けるのは、2021年9月18日(土)23:45からのNHK「よなよなラボ」です。
この曲が日本中の小学校で流れたら、すばらしいなぁと思います。
子どもたちのうんち観は、きっと、ぜったい、かならず変わります。
小学校の先生、力を貸してください。この曲をきっかけに一緒に変えましょう。
「2021年、子どもたちに新たなうんち観が生まれた」そう言えるようにしたい。
今の気持ちを表してみよう!
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