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SDGsと「誰も取り残さない」トイレ

杉田映理
杉田映理
大阪大学 人間科学研究科

2021/01/28

SDGsって?

SDGs(エス・ディー・ジーズ)というコトバ、聞いたことありますか?
あるいは、このカラフルな17色の輪を、ポスターの端っこや、最近ではテレビのコマーシャルでも見かけたことがあるのではないでしょうか?

SDGsはSustainable Development Goalsの略で、日本語では「持続可能な開発目標」といいます。2015年の国連総会で世界193か国が合意し、2030年までに国際社会が目指すべき目標を17個定めました。SDGsの達成に向けて国際協力を通じて他国と協力しあったり支援したりすることも重要ですが、各国がそれぞれ自分の国内での目標達成を目指して努力することが求められています。 

日本も、もちろん例外ではありません。日本国内のSDGs達成に向けて、日本政府は首相を本部長とするSDGs推進本部を設置し、自治体や企業にも積極的な取り組みを促しています。まずはSDGsの認知度をあげようと、ピコ太郎やハローキティとコラボもしました。国ごとの達成状況をモニタリングしたレポートが発行されており、日本の総合順位は2020年版のレポートによれば世界で17位だそうです。

安全な水とトイレを世界中に

SDGsの目標17個全部は列挙しませんが、貧困、保健、教育、ジェンダー、雇用、イノベーション、エネルギー、気候変動、平和など分野は多岐にわたります。そう、そして「水とトイレ」も目標6としてSDGsの一つ柱になっているのです。ロゴを見ると「安全な水とトイレを世界中に」と謳われています。2020年の報告によれば、世界には20億人も基礎的なトイレを利用できない人がいます。

目標6のトイレに関する部分を掘り下げてみると、適切にし尿処理がされている(下水処理場に繋がってたり便槽が付設されている)トイレと、石鹸による手洗いなどの衛生行動が可能な環境に、適切かつ平等にすべての人々がアクセスできること、また野外排泄がなくなることが目指されています。その際、女性・女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払うこともターゲットとして明示されています。

「誰も取り残さない」

このように、トイレに関して「女性・女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズ」が言及されているわけですが、そもそもSDGsの基本方針でありスローガンともなっているのが「誰も取り残さない (Leave no one behind) 」ことです。これは、数値目標だけを追って量的拡大を図っても、質の部分を考えないと、取り残される人々がいる、ということの裏返しだと言えるでしょう。例えば学校でトイレの数は足りていても、車いす利用者に配慮した設計のトイレがなければ、車いす利用者はトイレ利用ができず「取り残されて」しまうわけです。

SDGsの「誰も取り残さない」という視点で考えると、日本のトイレは果たしてどうなのでしょうか。このトイレマガジンの「日本のトイレは困っている?」と題した星野勝太さんの記事で、障害者手帳を持っている人、指定難病あるいはそれ以外の難病がある人は、あわせて約1,300万人いると報告されていました。障碍を持つ人以外にも、人工肛門(ストーマ)をつけている人、高齢者、乳幼児を連れた父親や母親、生理中の人、過敏性腸症候群の人、LGBTの人、日本語が読めない外国人。人間は多様で、トイレのニーズも多様です。

すべてのニーズをハード面だけでカバーできなくても、ちょっとしたデザインや、情報や、器具を加えたり、そもそもあまり口にはしにくいトイレのニーズをシェアして、話し合って、一緒に考えて、思い遣ることが、「誰も取り残さない」トイレづくりにつながるのではないでしょうか。

石鹸のある手洗い場もSDGsの目標

もう一つ忘れてはいけないのが、石鹸のある手洗い場があることもSDGsに入っているということです。正確に言えば、対象は学校、医療施設、それから各家庭となっていますが、石鹸による手洗いの重要性は、昨今の新型コロナ感染症の予防策をみても自明でしょう。
日本では、公共トイレで石鹸がない施設をいまだに見かけます。また、目の不自由な人や車いすを使っている人には、利用できないのではないかと思われる手洗い場もあります。トイレと、トイレの後の手洗いはセットですので、石鹸による手洗いができる環境からも「誰も取り残さない」ように考える必要があるでしょう。

杉田映理
杉田映理
大阪大学 人間科学研究科

主にアフリカをフィールドに、トイレ、手洗い行動、水利用についての研究と、国際協力の後方支援(JICAの衛生分野のアドバイザー等)をしています。最近は、月経問題や学校保健にも関心を寄せています。

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